1.【ノートの教育学】そもそもノートは取るべきなのか?

2020年1月13日

【ノートの教育学】の第一回目、どこからはじめようか迷ったのだが、まずは「ノートを取る事にどれだけ学習効果があるのか?」をハッキリさせておくのが先決だろう。

 

ここで効果がないとなれば【ノートの教育学】は終わってしまうのだが…

 

ノートに学習効果はあるのか?

 

結論から言えば、中から大の効果があると考えられている。

最も参考になりそうなのが、静岡大学が行ったメタ分析である。

 

 

メタ分析とは?

過去に行われた研究データを精査し、大きな結論を出す研究手法。研究の中でも信頼性が最も高い。

メタ分析にも細かな種類があるのだが、ここでは割愛する。

 

先行研究から質の高いデータを33個選び出し、ノートの学習効果を導き出してくれている。ちなみに対象は高校生〜大学生。

では、結果を見ていこう。

 

  • テスト前に他人のノート/資料を見返すよりも、自分で書いたノートを見返した方が学習効果は高い(効果量0.75〜0.77)

 

 

効果量の基準

  • 0.2以下・・・小
  • 0.4〜0.5・・・中
  • 0.7〜・・・大

効果量も分野によって捉え方が異なっていて共通の基準はないのだが、だいたいこのようなイメージ。

そう考えると、少しでも学びを定着させたければ、自分でノートを取って見返したいところ。

では、もう少し掘り下げてみよう↓

 

  • 学力が低い子の方がノートによる恩恵が大きい(約1.8倍)
  • オンライン学習だとノート効果が大きい(直接授業に比べて約3.5倍)
  • 授業の長さは関係ない
  • ノートを見返す時間は15分以下に留めた方が効果的(15分以下:効果量=0.4対15分以上0.32)

 

次なる課題

 

ここで、「よし、児童生徒にノートを取らせれば学力が上がって万事解決!」と考えてはいけない。

当サイト(Edint)のモットーは「情報の深さ」である。一つの結論に飛びついて一般化を狙うものでもない。

研究の限界性を示し、新たな「問い」を立て、次のステップに繋げていく。

 

まず、この研究は高校生から大学生を対象にした研究である。中学生はこのカテゴリーに当てはまりそうなものだが、読み書きの能力が備わっていない小学生にも同じ事が言えるのかは不明だ。

 

二つ目に、発達障害の子どもはこの研究のサンプルに入っていない

発達障害と言っても多様なのだが、ノートの取り方や効果は変わってくるだろう。

この問題については、先行研究がいくつか存在しているので、次の機会に考えていくつもりだ。

 

三つ目は、ノートの取り方で効果は変わるのか、という点だ。

Googleで「ノート術」と検索してもらえばわかるが、ノートの取り方は沢山ある。ただ書き写すだけでいいのか、イラストの有無…細かな要素にも着目した考察が必要だろう。

 

その他にもいくつか疑問が湧くだろうが、それはコメント欄やTwitterで教えて頂きたい。

 

 

 

まとめ

①ノートを取ると大きな学習効果が見込める。

 

②自分で書いたノートをテスト前に短い時間見返すのが効果的。

 

③勉強に慣れていない人ほどこまめにノートを取った方がいい。

 

【ノートの教育学】の一回目として、ノートの効果を紹介してみたのだが、まだまだ序の口である。

鋭い方なら、この研究結果からいくつもの疑問が湧き出てくるかもしれない。

それは当サイト(Edint)にぶつけてもらっても構わないし、独自で仮説を立て検証してみるのもよいだろう。

 

二回目は読者さんの反応と僕のリサーチを鑑みて内容を決めていけたらと思う。

 

 

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One comment

  • BiViまる

    2020年1月13日 at 17:38

    いつも有益な情報をご提示いただいており,勉強させていただいております。

    以下,自分なりの解釈も交じり,取り留めのない文になっておりますが,
    私見を述べさせてください。

    さて私は以前,ノートそのものには教育効果はないとの論文を読んだことがありました。
    この場合、「自分の思考を伴わない」ノートは効果がないということです。
    つまり、ただ板書をきれいに写すだけでは意味がなく、自分がすでにもっている知識との関連性を確認しながらノートを作成しなければなりません。
    また、授業内で提示される情報について,ノートにマッピングしていくのか?もしくはストーリーで構成するのか?視覚情報を追加するのか?によっても、自分に合う・合わないがあるかと思います。
    ノートの内容は,自分の思考過程と連動するため、他人のノートは理解し難いのでしょう。

    学力が低い場合は、どこが重要であるかがわからないため、板書をひとまず書き取ることが主になり,ノートを取ることが目的になる場合が多いでしょう。この場合,必ず授業後にノートを見ながら授業を再現し,知識を構築していく必要があります。
    (再現性だけを考えるなら,授業の動画を撮って配信する方がよいのかとも思います。)
    一方で、学力が高い場合、キーポイントが分かるため、比較的メモに近いノートでも構わないのかもしれません。

    授業中では先生の解説を聞きながら、ノートを作成していきます。かなり高度な並行作業になります。しかも、集中力の波がある中で行う必要があります。そのことを踏まえて、先生は板書や話すスピード、時間のとり方などを工夫する必要があるのでしょう。特に,身につけている知識が少ない小・中学生では,十分な配慮が求められると思います。

    またノートだけを見直すことも教育効果はないとの結果があります。
    (すみません。これも出典をメモしておりません。)
    ノートを見直すときの重要な点は、自問自答にあります。授業内容を脳内で再現したり、例えばキーワードを伏せ字にして自問したり、ストーリーを自分や他の生徒に説明したりするなどして、長期記憶にしていく必要があります。

    以上、私なりのまとめです。急なコメント、すみません。

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当ブログの運営者:エイジ

年間3600本以上の学術論文を読破する20代男性の教育関係者。エビデンスのある教育を広めるために、ブログ・ Twitterなどで最新の教育情報を発信しています。 Twitterをフォローして頂けると幸いです。下のアイコンからTwitterのページに飛べます。


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